【ブログ】日常生活を送るための筋力維持には、散歩だけでは不十分!?

2025/07/01

はじめに


YOJOリハケアステーション めぐろの神原です。

 

「毎日散歩しているから運動は足りている」「買い物や通院で歩いているので安心」──そう思っていませんか?


実は、“散歩だけ”では、年齢とともに衰えていく筋力を維持するには不十分だということが、近年の研究で明らかになってきました。


この記事では、加齢による筋力低下とその予防に必要な運動の内容について、最新の研究をもとに解説します。


日々の生活を自立して続けるために、今すぐ取り入れられる生活習慣についても紹介しています。ぜひご一読ください。

 



「最近、文字が読みにくい」「以前よりも物がぼやけて見える」──そんな視力の変化を、年齢のせいとあきらめていませんか?

実は、視力の低下は単なる目の問題にとどまらず、脳の働き(=認知機能)にも深く関係していることが、近年の研究で明らかになってきました。

この記事では、視力と認知症の関係について、最新の研究をもとに詳しくご紹介します。

日々の生活の中でできる予防策もあわせて解説しますので、ご自身やご家族の健康管理にぜひお役立てください。

 

 

「散歩」だけでは筋力を保てない?

年齢を重ねると、誰でも筋肉量は減少していきます。特に、太ももやお尻、ふくらはぎといった「下肢筋力」は、日常生活の中でもっとも重要でありながら、衰えやすい部位です。


筋力の低下は、「つまずき」「転倒」「歩行困難」などにつながり、将来的には要支援・要介護のリスクを高めます。


毎日の散歩はもちろん健康によい習慣ですが、歩くという動作自体が比較的軽い運動のため、筋力を維持・向上させるには不十分なことが、研究で示されています。


 

最新研究が示す「筋力低下と運動習慣」の関係

🔍 オーストラリアの縦断研究(2023)

2023年、オーストラリアの研究チームは、60歳以上の高齢者1,200人以上を対象に、身体活動の種類と筋力の変化を2年間追跡調査しました(Watson et al., JAMA Network Open)。

この研究で明らかになった主なポイントは以下の通りです


 ・散歩などの軽度な運動のみをしていた群では、筋力・下肢機能ともに有意な低下が確認された

 ・週2回以上の筋トレを実施していた群では、筋力の維持または改善が見られた


つまり、筋力を維持するためには“筋トレ”が必要不可欠であり、有酸素運動(ウォーキングなど)だけでは不十分だということが分かります。

 

「サルコペニア」や「フレイル」との関係

加齢に伴って筋肉量が減少していく状態は「サルコペニア」と呼ばれています。さらにそれが進行すると、歩行スピードの低下や疲労感が増し、「フレイル(虚弱)」という状態に至ります。
 

国際サルコペニアワーキンググループ(EWGSOP)によると、歩行速度や筋力低下は、介護予防の指標にもなる重要なサインです。


この段階で適切な運動介入を行うことで、フレイルの進行を止め、自立した生活を維持できる可能性があります。

 

 

散歩+「筋トレ」の併用が鍵

厚生労働省が2023年に発表した『健康づくりのための身体活動・運動ガイド』では、65歳以上の方は「週2回以上の筋力トレーニング」が推奨されています。
 

ここでの筋トレとは、ジムでのトレーニングだけでなく、椅子に座ったままの脚上げや、軽いスクワット、自宅でのかかと上げ運動など、誰でも取り組める簡単なものです。
 

 ✅筋トレのメリット
  ・下肢筋力の維持・強化
  ・姿勢とバランスの改善
  ・転倒や骨折の予防
  ・生活自立度の向上

 

今日からできる「筋力を守る生活習慣」

筋力を維持するには、「運動」「食事」「休養」の3本柱が欠かせません。ここでは、すぐに取り組める具体的な習慣をご紹介します。
 

🏃‍♀️ ①散歩+筋トレを日常に取り入れる

 ✅散歩中にできる工夫
  ・10分ごとに速歩を入れる(インターバル歩行)
  ・ベンチを利用してのスクワット(立ち座り)
  ・階段昇降や坂道歩行をルートに追加

 ✅自宅で簡単にできる筋トレ
  ・スクワット(太もも・お尻):10~15回×2セット
  ・かかと上げ(ふくらはぎ):10~20回
  ・もも上げ運動(股関節):椅子に座って左右10回ずつ
  ・腕の運動:ペットボトルで肘の曲げ伸ばし、肩上げ

 

🍳 ②筋肉の材料となる「たんぱく質」をしっかり摂る

 ✅たんぱく質豊富な食品
  ・魚(特にサバ・鮭など青魚)
  ・鶏むね肉・赤身の肉
  ・納豆・豆腐などの大豆製品
  ・卵・乳製品(ヨーグルト、チーズ)


 ✅その他に意識したい栄養素
  ・ビタミンD:干ししいたけ・鮭・卵黄など
  ・ロイシン:大豆・チーズ・牛肉に豊富
  ・オメガ3脂肪酸:筋肉の炎症抑制に有効(青魚に多い)

 

😴③睡眠・ストレス・日光浴も大切

 ・睡眠:夜22時~2時は筋肉の合成に重要な時間帯
 ・ストレス管理:過剰なストレスは筋肉の分解を促進
 ・日光浴:ビタミンD合成を助ける。朝の散歩が特におすすめ

 

📅④週間スケジュールの例(無理なく続ける) 



おわりに

年齢を重ねても自分の足で歩き、好きなことを続けるためには、筋力の維持が何より大切です。
 

「散歩だけで十分」と安心せず、今のうちから筋力にしっかり刺激を与える習慣を始めてみましょう。
 

無理のない運動と、栄養・休養をバランスよく組み合わせることで、これからの生活がより豊かに、そして自立して送れるものになります。
 

ご自身のために、ご家族のために、今日からの一歩を大切にしてみてください。


 



 

📚 参考文献

・Watson NL, et al. “Physical Activity and Lower-Body Strength Trajectories in Older Adults.” JAMA Network Open, 2023.
 

・European Working Group on Sarcopenia in Older People (EWGSOP). “Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis.” Age and Ageing, 2019.
 

・厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
 

・Fielding RA, et al. “Sarcopenia: an undiagnosed condition in older adults.” Current Opinion in Clinical Nutrition and Metabolic Care, 2011.


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