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サイトマップ「見えにくい」が「もの忘れ」につながる? 最新研究が示す 視力と認知症の深い関係
2025/06/03
はじめに
YOJOリハケアステーション めぐろの神原です。
「最近、文字が読みにくい」「以前よりも物がぼやけて見える」──そんな視力の変化を、年齢のせいとあきらめていませんか?
実は、視力の低下は単なる目の問題にとどまらず、脳の働き(=認知機能)にも深く関係していることが、近年の研究で明らかになってきました。
この記事では、視力と認知症の関係について、最新の研究をもとに詳しくご紹介します。
日々の生活の中でできる予防策もあわせて解説しますので、ご自身やご家族の健康管理にぜひお役立てください。
視力の低下は「脳」に影響する?
「目は脳の一部」と言われるように、私たちが目から得ている情報は、視神経を通じてすべて脳に送られています。
視覚は五感の中でも特に情報量が多く、脳の活動の大部分が視覚情報の処理に関わっていると言われています。
そのため、視力が落ちて「見えにくい」状態が続くと、脳に入る刺激が減り、脳の活動が低下してしまうことがあるのです。

最新研究が示す「視力と認知症リスク」の関係
🔍 アメリカの大規模調査(2023)
2023年に米国の研究チームが発表した論文(Killeen et al., JAMA Ophthalmology)では、全米の高齢者約3,000人(平均年齢77歳)を対象に、視力と認知機能の関係が調査されました。
この研究で明らかになった主なポイントは以下の通りです
・近くが見えにくい人(近見視力障害)のうち、約22%が認知症を発症
・遠くが見えにくい人(遠見視力障害)では、約33%が認知症を発症
・明暗の違いが分かりにくい人(コントラスト感度の低下)では、約26%が認知症を発症
これらの数値は、視力に問題のない人と比べて明らかに高い発症率であり、視力低下が認知症のリスク因子のひとつである可能性を示唆しています。
白内障手術が認知症リスクを下げる?
特に注目されているのが、「白内障」と認知症の関係です。白内障とは、水晶体が濁って視界がかすむ疾患で、高齢者に多く見られます。
2021年に発表された別の研究(Duan et al., JAMA Internal Medicine)によれば、白内障手術を受けた人は、手術を受けていない人と比べて、認知症の発症リスクが約30%も低いという結果が出ています。
これは、視力が回復することで再び外の世界からの刺激が得られ、脳の活動が促されるためと考えられています。
屈折異常(近視・遠視)も無視できない
白内障のように手術を必要とする疾患だけでなく、近視や遠視といった屈折異常も認知症のリスクに影響する可能性があります。
近年の総合的な調査(The Lancet, 2020)では、「未矯正の視力障害」は、認知症の予防可能なリスク因子のひとつに挙げられています。
眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正するだけでも、脳への刺激が維持され、認知機能の低下を防ぐ可能性があると考えられています。
視力を保つことが認知症予防に
視力低下が脳の働きに影響を与えるとすれば、逆に視力を保つことが認知症予防につながるということも言えます。
✅ 予防のためにできること
定期的な眼科検診
→ 特に65歳以上は1~2年ごとの受診をおすすめします。
視力矯正の見直し
→ 眼鏡やコンタクトレンズが合っていないまま使い続けていませんか?
白内障など治療可能な疾患の早期発見・早期治療
視力にやさしい生活習慣
→ バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、目を酷使しない工夫など。
食事から目と脳を守る:「MINDダイエット」
近年注目されているのが、MINDダイエット(マインド・ダイエット)です。これは、地中海食と高血圧予防食(DASH食)を組み合わせた、認知症予防に特化した食事法です。
MINDダイエットでは、以下の食品が特に推奨されています。
・緑黄色野菜(ブロッコリー・ほうれん草など)
・ベリー類(ブルーベリーなど)
・魚(サバ・鮭などの青魚)
・ナッツ類(アーモンド・くるみ)
・オリーブオイル(調理油として)
これらの食品は、抗酸化作用や抗炎症作用があり、脳と目の健康維持に役立つとされています。
2015年の研究(Morris et al., Alzheimer’s & Dementia)では、MINDダイエットを忠実に実践した人は、認知症の発症リスクが最大53%低下したと報告されています。
今日から始める「視力と脳」のセルフケア
大切なのは、特別なことではなく、日々の小さな習慣です。
・まずは眼科検診の予約をしましょう
・食事に野菜・ナッツ・魚を少しずつ取り入れましょう
・軽い運動を習慣にして、血流を良くしましょう
・ストレスをためず、睡眠をしっかりとりましょう
これらの積み重ねが、視力と脳の両方の健康を守ることにつながります。
おわりに
視力と認知症。一見、関係がないように思えるこの2つは、実は深くつながっています。
見えにくさを放置することが、知らないうちに「考える力」の低下につながっているかもしれません。
視力の変化に気づいたら、放っておかずに専門家に相談してみてください。
そして、日々の生活にちょっとした意識を加えることで、目も脳も元気に、より豊かな毎日を送りましょう。